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触媒化学 Catalysis
-- 固体触媒 Solid (Heterogeneous) Catalysis
---- とくに,固体酸触媒 Solid Acid Catalysis および 表面設計 Design of Surface

なぜこのような研究が重要かは[ここ]

研究室の方針は[ここ]


分子を鋳型とするシリカの化学蒸着による形状選択的触媒活性点の構築

 アルミナやジルコニアなどの塩基性酸化物上にアルデヒドを化学吸着(CVD)させ,その後Si(OCH3)4のCVDを行ない,最後に有機物を除去すると,シリカの壁に囲まれ,アルデヒド分子(正確には,アルデヒドと表面の反応によってできるカルボン酸アニオン)の形と大きさによって制御された細孔を表面に構築することができる.形状選択性をもつ吸着剤・化学センサー・触媒として期待される.科学技術振興事業団戦略的創造研究推進事業(さきがけ研究21)「表面に形状選択的活性点を持つ固体触媒」として採用され,特に触媒としての応用を指向して研究を行っている.このようなことを計画するのは容易で,類似の試みは歴史上多数見受けられるが,実現するためには壁の微細構造を制御するのが鍵であろう.CVDの際に酢酸を添加すると選択性が非常に高くかつ明確になる. この機能を利用し,クリーンルームの汚染物質DOPを選択的に検出するセンサを開発している


化学蒸着法により調製したシリカモノレイヤー耐熱性固体酸触媒

 アルミナやジルコニアなどの塩基性酸化物上にSi(OCH3)4の化学蒸着(CVD)法によってシリカモノレイヤーが生成し,表面を覆った.シリカモノレイヤーは弱いブレンステッド酸性と耐熱性を発現した.アルミナ上のシリカモノレイヤー表面のOH基濃度は極めて低く,シロキサンのネットワーク構造が立証された.OH基濃度が低いため,アルミナ上のシリカモノレイヤーは約1500Kで焼成後にも酸性質を示す耐熱性酸触媒である.


アンモニア昇温脱離法による固体酸の酸性質測定

 アンモニア昇温脱離(TPD)法は固体酸触媒上にアンモニアを吸着させ,昇温させて脱離したアンモニアを分析して固体の酸性質を測定する方法である.
 幅広いさまざまな固体酸触媒上で気相と吸着相のアンモニアの間に平衡が成立しており,TPD曲線はその影響を受けていることがわかった.そこで,TPD曲線を解析する理論とカーブフィッティング法を提案した.赤外(IR)と質量分析(MS)を組み合わせたアンモニアIRMS-TPD法によって,ほぼすべての固体酸触媒のブレンステッド酸・ルイス酸それぞれの数・強度・その分布までを正確に定量することが可能となった.


ゼオライトの酸性質と触媒作用

 前述のアンモニアTPD法でさまざまなゼオライトの酸強度を測定したところ,骨格内Alによって発現するブレンステッド酸点の強度は,SiOHAlの横から押されるほど強いことがわかった.ゼオライトの酸強度を支配している原理を初めて明らかにした.


表面薄層酸化物の酸性質と触媒作用

 ジルコニア上に硫酸を担持すると固体超強酸になると言われている.また,ジルコニア上の酸化タングステンはアルカンの骨格異性化に活性な触媒である.しかし,その構造や酸性質は充分には解明されていない.
 ベンズアルデヒド-アンモニア滴定(BAT)法によって酸化タングステンや硫酸はサブモノレイヤーあるいはモノレイヤーとなって表面を完全に覆うことがわかった.水蒸気処理アンモニア昇温脱離(TPD)法をこれらの触媒に適用し,さらにアンモニア吸着熱からH0関数を導出したところ,硫酸根のサブモノレイヤー上に超強酸点が発現し,フリーデルクラフツ反応に対して活性を持つが,アルカンの骨格異性化にはこの超強酸点は不要であり,過剰な硫酸根上に発現する高密度でブレンステッド酸点を含む活性点が骨格異性化には有効であることがわかった.酸化タングステンのモノレイヤー上にも後者のタイプのブレンステッド酸点が発現した.


固体酸触媒を用いるアミン類の合成・転換反応

 Gaを担持したMFI型シリケートは,フェノールとアンモニアからアニリンへの気相脱水アミノ化反応に対して高い活性と長い寿命を有する.Alを担持したMCM-41型メソポーラスシリケートは,アニリンと炭酸ジメチルからカーバメートを生成する液相反応に対して高い活性を示し,溶液に不要で分離が容易であることから繰り返し使用が可能であった.


地域への貢献

木材から活性炭の製造

 鳥取県に限らないことであるが,間伐材や建築廃材といった廃木材の有効利用策を見出すことが急務とされている.活性炭は有機物を比較的よく吸着することから空気や水の浄化に利用され,今後も需要の増大が期待される.木材から活性炭を製造できることが知られているが,従来法は複雑で人件費や装置コストが高い.そこで製法の簡素化を試み,木材チップを一段階の1100〜1200 Kでの水蒸気処理によって活性炭に転化する方法を見出し,これに基づいて入口から連続的に投入された木材が出口から活性炭となって出てくる炭化装置を試作,実証した.

木材から製造した活性炭による亜硫酸ガスの浄化

 重油燃焼ボイラーの排煙中のわずかな二酸化硫黄を除去するため,石灰粉末を噴霧し,(1)の反応(湿式酸化と中和が同時に起き,石灰は触媒と塩基の役割を同時に果たす)によって石膏として回収するプロセスが実施されている.しかし近年石膏の価格が下落し,生成する石膏を産業廃棄物としてコストをかけて処理せざるを得なくなっている.二酸化硫黄は(2)の反応で硫酸に転化することも知られているので,近年この反応の実用化が試みられている.(2)の反応は湿式酸化であり,活性炭が触媒として知られている.いわゆる環境触媒反応の一つである.

SO2 + CaO + 1/2O2 → CaSO4 (1)
SO2 + H2O + 1/2O2 → H2SO4 (2)

 そこで前述の連続炭化法で木材から製造した活性炭の触媒活性を測定したところ,市販の活性炭と比べて高い活性を示した.

椎茸の産地判別法

 財団法人日本きのこセンター菌蕈研究所と共同研究を行い,椎茸の元素分析を基にして産地判別方法を開発した.

おまけ


その他最新のテーマは秘密


参照触媒共同研究プロジェクト,「ゼオライトのイオン交換」「硫酸化ジルコニアの調製法」「バイオディーゼル」.
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      ・Presentation List


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