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Katada Laboratory of Catalysis [Top]
[固体触媒]
[研究と教育]
[成果の実用化] 丹羽研究室 ~2011. 3 |
片田研究室では,ゼオライトをはじめとする固体酸触媒と,これらに担持した金属触媒の作用を解明し,固体触媒を設計する方法を確立するための研究を行っています.ここに示したように,石油文明は触媒(固体酸触媒)によって支えられてきました.しかし,しだいに原油の残存量が減り,残ったのは使いにくい大きな分子を主とするようになってきました.このような重質油の利用,さらにはいままで利用不可能だったオイルサンド,オイルシェールを分解してガソリンを製造するような,画期的な技術革新が求められています.これはエネルギー危機を救うだけでなく,そこにオイルサンドがある以上人類は無駄に使ってしまう可能性が高いので,有効利用すればそれだけCO2の生成を抑制することになります.さらには植物由来のセルロースやリグニンなどを分解できる触媒を開発すれば,太陽光の利用可能性が大きく広がります.いずれも,大きな分子の分解に活性を持つ触媒の開発が求められています.大きな分子の分解の鍵になるのは,広い表面に強い酸点を持つ固体酸触媒の開発です.高い性能を持つ固体酸触媒を開発できれば,エネルギー問題が解決されます. ゼオライトはSiO2とAl2O3からなる,砂のような物質です.Si4+をAl3+が置き換えることでH+が存在できるようになり,これがブレンステッド酸点となります.その周囲の原子間の距離や角度によって酸強度が制御され,触媒としての性能も決まります.原子1個のサイズの何かが,素晴らしい機能を引き出しています.その原理を解き明かせば,人類を救う夢の触媒を開発できることでしょう.しかし,固体酸触媒分野では酸性質の測定すら困難で,人類は経験的にいくらかの触媒を手にしているものの,固体酸触媒作用には多くの謎が残されています.我々は固体酸性質測定のためのアンモニアTPD (昇温脱離)法を開発し,ゼオライトを中心とする多くの固体酸触媒の物性,さらには何が酸強度を制御しているかなどを明らかにして,この分野のトップを走ってきました.夢の触媒の設計まで,あと少しです. ゼオライトはまた,直径0.5 nm程度のミクロ細孔を有し,これより大きい分子が入れないとか出られないといった分子ふるい機能・形状選択性を有しています.前任の丹羽教授はゼオライトの細孔入口を微細に狭めるシリカの化学蒸着(CVD)法を開発し,PET (ポリエチレンテレフタレート)樹脂の原料となるパラキシレンを選択的に製造するプロセスを発見しました.我々はこれを受け継ぎ,ほしい分子だけを自在に合成し,これ以外の廃棄物を産出せず,無駄な原料も使わないプロセスの開発を目指します. 我々はまた,ゼオライトの酸点をそのまま使うのではなく,これを利用して原子状のPdを保持させ,Suzuki-Miyaura反応に対して極めて活性の高い触媒を作ることにも成功しました.この研究ではSPring 8におけるEXAFSによるPdの微細構造の観察も重要なツールでした.このようにナノテクノロジーより精密なウルトラナノテクノロジーとも言うべき技術で固体表面の原子を自在に操り,資源や環境の保護に貢献したいと思います. 片田研究室は固体触媒化学を基盤に,人類を救う知識を鳥取の地から発信したいと考えています.片田研究室では,人類的な課題を解決するためのトップレベルの研究を体験することを主体に,実行力のある人を育てたいと考えています.具体的には下のことを重視し,教員・学生が一体となって勉強したいと思っています. |