Katalab
Katada Laboratory of Catalysis [Top]
[固体触媒]
[成果の実用化] 丹羽研究室 ~2011. 3 |
原油を蒸留するとLPG (液化石油ガス),ガソリンとナフサ,灯油,軽油,重油,残油に分かれることは知っていますね.このうちガソリンは自動車の燃料になり,ナフサはプラスチックや繊維,塗料などの原料ですので,ガソリンとナフサ留分(C5~C10程度の炭化水素)が社会を支えていることになります.
ガソリンは極めて需要が大きく,ガソリンの必要量を満たすように石油製品を製造し,残ったものは生産量に合わせて使い道を考え,使っているのが実態です.
さて,原油の成分の多くは,大きな分子からなる残油・重油留分(蒸留すると残油や重油になる成分)です.そこで,ブレンステッド酸点を有するゼオライトを触媒として原油の分解が行われ,ガソリン・ナフサに相当する成分が製造されます.この反応はクラッキング反応と呼ばれます.つまり,ガソリンとプラスチック・繊維などの原料は全てゼオライト触媒によって製造されています.あなたの暮らしも,触媒のおかげだったのです. 20世紀初頭,人類は人口の増加によって食糧難に直面していました.しかし窒素と水素からアンモニアを合成する触媒が開発され,アンモニアを肥料とすることによって農業生産が効率化され,人類は飢えから逃れることができました.ナフサ,石炭,動植物性原料などから合成されるプラスチック,機能性樹脂,医薬品,油脂,繊維,溶剤,塗料,液晶なども,ほとんどが触媒を用いた化学反応によって製造されています. |