触媒道場に御参加いただき,またアンケートにご回答いただき,ありがとうございます.よい方向に評価していただいたご意見にも感謝しておりますが,ネガティブな問題に対する貴重なご意見・ご指摘も深く受け止め,今後に活かせるよう申し送るつもりです.今回は初めてのでもあり,いろいろな問題が生じました.ご意見に対して,説明を要する点について世話人代表から事情を記します.

参加費,講演会場の設備などについて

 触媒学会から収益を求められていたこともあり,参加者60名程度で収益が20万円あがるような予算設定をしていました.また,2006年までの触媒化学基礎講座で宿泊なしの講演9本で参加費(一般会員)\35,000といったところが前例でしたので,バランスが大きくは崩れないような参加費(講演10本,見学2箇所で一般会員早期申込宿泊なしで\33,000)を設定しました.

 経費の主な内訳は1人1泊\7,000の研修宿泊パック+懇親会費+講師謝礼・交通費+貸切バス代で,講師謝礼・交通費+貸切バス代の部分は参加者が少ないと1人当たりの負担が大きくなります.このため,\33,000は,財政上の安全を考えると仕方がない価格でした.やや高めの参加費ですが,風光明媚な倉敷の丘の上で,のんびりと勉強や交流ができると予想していました.

 しかし,予想が大きく外れたのは,参加申込が非常に多数になったことでした.宿泊(+懇親会)参加希望の方を一部お断りせざるを得ず,講義室に多数の聴講者を詰め込むことになり,講演や懇親会などでのコミュニケーションも不足となり,「割高感」のある研修会となってしまったかと思います.

 会場のスクリーンやマイク,声が聞き取りにくかったなどのご意見もいただいていますが,講演者の皆さんにはベストを尽くしていただいており,本質的には参加人数の見積が少なすぎたために会場が手狭だったことが原因と思われます.なかなか難しい点ですが,もっと努力すべきであったと反省しています.

プログラムについて

 ポスターセッションや懇親会など,時間に余裕がなく,あわただしい研修会となりました.従来,時間に余裕がありすぎて,密度が薄い気がして参加しない,といった行事が多かったように思い,また世話人各位の豊富なアイデアを最大限盛り込み,あえてこのようなプログラムにしてみました.昨今の若手研究者の実情から見ると,あまりのんびりした企画には参加する気がしない,ということに同意される方は多いのではないでしょうか.しかしやってみると,もう少し交流の機会があった方が良かったと感じています.

 講義内容を基礎的なものにするか,トピックス的なものにするかは,ここしばらくの触媒化学基礎講座でも重要な課題でした.もっと初心者向けにしてほしい,系統立てる,教科書を使ったら,というご意見もいただいていますが,初心者向けで系統的にテキストを使ってきたのがまさしく「触媒化学基礎講座(触媒道場の前身)」で,それだけでは受講者が集まらないのでトピックス的なものを取り入れる方向にシフトしてきたのが最近の流れです.

 プログラムについては全ての要望を満たすことは難しいのですが,ご意見が今後に活かされるよう,引き継ぎたく思います.

場所について

 今回は中四国の若手行事という位置づけで,初回ですので倉敷というベストポジションを選ぶことができました.中四国の参加者からはかなり便利であったろうと思います.

 もっと街中がよいというご意見もありますが,そうすると会場費が高くなり,宿泊者が減る傾向にありますので,一長一短と言ったところです.

日程について

 夏休みの周辺に設定した場合,触媒分野の会議との重複は避けた方がよいとは思いますが,ゼオライト,無機材料,有機合成など関連分野全てを避けることは不可能なのが実情です.

宿泊しない場合の懇親会の参加の可否について

 ご要望は前からいただいていたのですが,今回の会場の宴会対応能力の限界に達していましたので,懇親会参加のご希望には,定員以上は宿泊の有無に関わらずお断りせざるを得ない状況でした.また,この種の事業に参加される目的は研修と懇親で,宿泊すること自体は目的でないと拝察しますが,宿泊者が多いために会議室料や懇親会費を割り引いてもらっており,宿泊なし(宿泊費免除)で懇親会参加のみ認めた場合,やや不公平な感じもしますのでお断りしました.ただ,よりよい方法を検討する必要があると思います.ご要望にお応えできなかった方には深くお詫びいたします.

 以上,いくつかの点について実情(言い訳)を記しましたが,段取りの悪さその他,反省点が多々あり,まことに申し訳なく思っております.触媒道場は今後は触媒学会の教育事業として引き継がれてゆく予定ですので,貴重なご意見が活かされるよう申し送るとともに,皆様には今後もいろいろな形で触媒学会の教育事業にご意見をいただき,またご協力いただけるよう,よろしくお願いします.

2007. 10
触媒道場世話人会代表(鳥取大学)片田直伸
[触媒学会] [触媒学会関西地区]