触媒とは?

 触媒とは、それ自身は変化しないで化学反応の速度を速くする(反応を促進する)物質です。反応を促進する過程では触媒も反応して変化し(ただし元に戻る)、これによって反応の経路を変えることで促進します。

 触媒はどのように人類に役立っているのでしょうか。触媒が活躍する分野は2つあります。

 1つめは、いわゆる直接環境触媒の分野において、です。自動車の排気ガス中の有害物質は触媒によって分解されています。火力発電所や大型ゴミ焼却場などでも同様のことが行われています。原油を精製する前に有害な硫黄化合物を除去するようなことも、触媒を使って行われています。このように、人類にとって、場合によっては生態系や地球環境に有害な物質を分解することを通じて環境保護に貢献しています。

 もう1つは少し目立たない分野において、です。化学プラントの中で、通常は1時間かかる反応が10秒で終わったら、プラントを小さくし、資源を節約して多くの製品を作ることができます。通常は400℃の温度を必要とする反応が100℃で進行したら、エネルギーの節約になります。つまり触媒はどのような場面でもエネルギーや資源の消費抑制を通じて地球環境の保護に貢献しています。
 しかし触媒は、このように触媒なしでも起きる反応を速くするだけではありません。通常は混ざって起きる複数の反応のうち一つだけを選択的に促進し、触媒なしでは事実上不可能であった反応を可能にすることがあります。つまり、触媒によって新しい化学反応が実現することがあります。このようにして、多くの化学工程が触媒によって実現され、人類の必要とする物質が造られています。

 以上のように、触媒は有害な物質を除去し、環境に適合した工程を用いて必要な物質を製造するために貢献しています。いまや、触媒は高度で役立つ機能材料の代表と言っても良いでしょう。

 触媒工業協会のサイトに興味深い記事があります。ご参照ください。